みんなのBento

種類豊富なおかずが入った、楽しいお弁当。筆者たちが各々のレシピで調理しています。多くの人に食べてもらえるようなお弁当を作るため、日々研究中。

ラップスタア T.U.Gのリリックに勝手に感動&勝手に考察

泥のように寝るのに起きて夢を見る
言葉にできないfeel 紐解くペンシル


あれもこれも過去全部意味があり
叶った先に許せると信じてる


惚れた相手間違ってこんなザマ
感謝しかしてないんだ本当はな


俺の人生は変わらない300万
ただ抜け出したいんだここから


貰う側から渡す側に

ハードなの I know 道の果てに


仲間が追う背中伸びるShadow
お前が言ってくれた間違いない


ただ素直にもっと上に行きたいんだもっと
今も変わらず毎日思うこと


形じゃないもの追いかけてきた
転がるチャンスモノにする今Rapstar

(引用先 https://lyrnow.com/1325226)

 

「泥のように寝るのに起きて夢を見る」

この出だしからもうグッと来てしまった。T.U.Gのラップは、夢から目覚めるんじゃなくて現実という夢へと目覚める(「起きて夢を見る」)、という逆説から始まる。「泥のように寝る」のは彼の1日がハードだから。でもT.U.Gは「ハード」な現実と「追い求める夢」を別々の世界にわけない。「ハード」な現実が彼を「泥のように眠らせる」のに、その現実の中で、T.U.Gは「起きて夢を」見られる。この出だしでもう感動してしまった。

 

「言葉にできないfeel 紐解くペンシル」

「言葉にできないfeel」は、多分「夢」のこと。夢ほど言葉に変えにくいものはない。T.U.Gはそれを「紐解く」ために鉛筆を握る。彼は、起きながらながら夢を見て、しかもその夢を、目覚めた夢の中で紐解こうとしている。起きてから夢を日記に書くわけじゃない。現実から起きながら、現実という夢を紐解く。こうして、夢(言葉にできないfeel)と現実(紐解くペンシル)という真逆の世界は、T.U.Gの言葉で1つに重なる。

 

「あれもこれも過去全部意味があり

叶った先に許せると信じてる」

叶った先、という言葉の頭に「夢が」をつけないのがにくい。続けて、「過去」であったいろんなことが「先(未来)」で「許せると信じてる」と歌う。ここは普通のことを言っているようで、実はT. U. Gがなんか不思議な因果関係を生きていることが、次のバースでわかる。

 

「惚れた相手間違ってこんなザマ
感謝しかしてないんだ本当はな」

「惚れた相手間違ってこんなザマ」は、「あれもこれも過去」の中の1つの記憶だ。ただ、T. U. Gはそれを夢が「叶った先」(未来)の問題として先延ばしにしてない。彼は「感謝しかないんだ」と言ってる。そこに、「本当は」と言うリアルな気づきがくっつけられてる。「叶った先に許せると信じている」と1つ前で歌っていたのに、T.U.Gはもうすでに、T.U.Gを「こんなザマ」にした惚れた相手を許すどころか、「感謝」までしてる。「過去」と「未来」もまた、T.U.Gの言葉の中では1つに重なってる。

 

「俺の人生は変わらない300万

ただ抜け出したいんだここから」

ここで、T.U.Gの「逆説」がさらに具体化する。「300万」は優勝金だ。でも、それじゃ「俺の人生は変わらない」。じゃあ、彼は一体何のために『ラップスタア誕生』に参加するのか?

 

「貰う側から渡す側に

ハードなの I know 道の果てに」

T.U.Gは、どん底から成り上がりたいと言う定番のHIPHOPマインドを歌っていない。彼は、貧乏や底辺から抜け出してラップスタアになりたいとは歌っていない。そうじゃなくて、「貰う側」から「ただ抜け出したい」と歌っている。彼のリリックが貫いてきた「逆説」が、ここで一気に具体化する。「貰う側」から「渡す側」になる。自分のためが、人(仲間)のためと重なる。T.U.Gのハードで幸福な人生が見える気さえしてくる。

 

「仲間が追う背中伸びるShadow
お前が言ってくれた間違いない」

そして次に歌うのは「Shadow(影)。T.U.Gと仲間は、影の中で1つだ。だから、これはT.U.Gのラップなのに、ここで、自然と仲間のセリフが挿入される。「お前が言ってくれた間違いない」。これは仲間が彼へとかけた言葉。まるで一緒に歩く友人同士の影が重なって伸びるように、友達のセリフがT.U.Gの声と重なって、私たちへと響いてくる。

 

ただ素直にもっと上に行きたいんだもっと

今も変わらず毎日思うこと

「形じゃないもの追いかけてきた
転がるチャンスモノにする今Rapstar」

最後、T.U.Gは逆説を畳み掛ける。彼は夢を追い求めるとは言わずに、「形じゃないもの追いかけてきた」と言う。実体がないものなのに、まるで実体があるように追いかけて行くT.U.G。逆説はさらに続く。

 

「転がるチャンスモノにする今Rapstar」

 

「チャンスは転がってる」と言うよくある言葉が、「追いかけて」の一節のせいで、本当に「転がって」いるように聞こえる。「チャンス」に「形」はないけど、それはT.U.Gの前で本当に「転がって」いるみたい。だから彼はそれを「追いかける」ことができる。これらは全部、カッコつけて空回った歌詞とかじゃなくて、ちゃんとT.U.Gに生きられた法則な気がする。頑張ってほしい。